その色・この色 その8
英名ではこの系統の色を「バーントオレンジ」といいます。
このように、透明感、光沢感などの違いによって同じ系統の色でもかなり違った色に感じられることがありますが、照明の光の性質、染料の組成や染色法などによって、色の見え方が影響されることも多い。
前田雨城氏は、日本の古代色彩の特徴として、
(1)色彩はすべて、薬草と考えられる草木で染められていること。
(2)使用された染料植物は二十種にも満たないこと。その僅かな種類の染料で、重ね染にょって何十種もの色相を染出し、媒染剤も多種ではなかったこと。
(3)色彩は鮮明で、日光堅牢度も高く、光源の種類、方向に対して色の変化する度合が大きいこと。
(4)高価で、貴族用、宮廷用の限られた需要しかなく、一般に色彩が解放されたのは鎌倉時代以後であったこと。
……などをあげておられます。
これらの特徴を表わす代表的な色彩が、歴代天皇の御衣の色とされていた「黄櫨染」です。
一見して茶色ですが、日光によって赤褐色に、灯火によって赤くも見える色とされています。
この染色は、櫨の染をした上から蘇芳染をして、その上からまた櫨で染めて蘇芳をとめるとのことですが、このような工程が現代の大量生産の染色とまったく違った入念なところです。
このような染色工程の複雑さの他に、植物染料自体の特性があって、現在の化学染料では、なかなかこのような不思議な色を表現することはできません。